理由なき尾行、はじめました。

映画『二重生活』

イントロダクション -INTROSUCTION-

原作はフランスの女性アーティスト、ソフィ・カルの「本当の話」から着想を得た直木賞作家・小池真理子が執筆した長編小説「二重生活」。この原作を、NHK「ラジオ」(文化庁芸術祭大賞受賞ほか多数受賞)など多くのドラマを手掛けた気鋭の映像作家・岸善幸が大胆に脚色、映画化に挑んだ。ヒロインを演じるのは、本作が単独初主演となる門脇麦、尾行される男に長谷川博己、恋人役に菅田将暉、指導教授役にリリー・フランキーと、多彩なキャストが岸のメガホンのもと総結集した。
	リアルなカメラワークが伝える尾行による高揚感と胸騒ぎ、そして、その果てに浮かび上がるそれぞれの二重生活の向こう側にある孤独に、気づけば日常と内面までも侵食されてゆく――これは、ひとりの女性の心の成長物語。これまでの日本映画にはない、全く新しい心理エンターテインメントの誕生である。

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主に写真と言葉で構成した物語性の高い作品の制作で知られるフランスの女性現代美術家。90年代の「本当の話」や「ヴェネツィア組曲」なども含め、虚実入り混じる不思議な作品を制作する一方で、「盲目の人々」(1986年)から始まった盲人に焦点を当てたシリーズにおいて、美術の根幹に関わる視覚・認識についての深い考察を行っている。

大学院で哲学を学ぶ平凡な学生、珠。同棲しているゲームデザイナーの恋人、卓也との日々は、穏やかなものだった。

ところがそんな毎日は、 担当教授から修士論文の題材に“哲学的尾行”の実践を持ちかけられたことで一変する。

それは、無作為に選んだ対象を追ういわば“理由なき尾行”。

半信半疑ではじめた、隣人、石坂への尾行だったが、彼の秘密が明らかになっていくにつれ、珠は異常なほどの胸の高鳴りを感じ、やがてその禁断の行為にのめりこんでいく―。

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キャスト -CAST-

門脇 麦(白石 珠)

1992年8月10日生まれ、東京都出身。2011年にデビュー後、東京ガスのCM「ガスの仮面」で披露したクラシックバレエで注目を集める。ヒロイン役に抜擢された『愛の渦』(14/三浦大輔監督)では大胆な濡れ場に挑戦し、大きな話題を呼んだ。2014年第6回TAMA映画賞最優秀新進女優賞、2015年第36回ヨコハマ映画祭日本映画個人賞最優秀新人賞、2015年第88回キネマ旬報ベストテン新人女優賞などを受賞。主な出演作に、大河ドラマ「八重の桜」(13/NHK)、『闇金ウシジマくん Part2』(14/山口雅俊監督)、「ブラック・プレジデント」(14/KTV・CX)、『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』(14/永田琴監督)、『死と恋と波と』(15/短編/松永大司監督)、『アゲイン 28年目の甲子園』(15/大森寿美男監督)、『合葬』(15/小林達夫監督)、連続テレビ小説「まれ」(15/NHK)、「探偵の探偵」(15/CX)、「お迎えデス。」(16/NTV)『太陽』(16/入江悠監督)など。今後の待機作に、『オオカミ少女と黒王子』(16/廣木隆一監督)、Netflix連続ドラマ「火花」(16/総監督:廣木隆一、原作:又吉直樹)などが控え、ますますの活躍が期待される若手女優の一人。

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長谷川博己(石坂史郎)

1977年3月7日生まれ、東京都出身。多くの舞台に立つ一方、「セカンドバージン」(10/NHK)、「鈴木先生」(11/TX)、「家政婦のミタ」(11/NTV)、「八重の桜」(13/NHK)、「雲の階段」(13/NTV)、「MOZU」シリーズ(14〜/TBS、WOWOW)、「デート~恋とはどんなものかしら~」(15/CX)など数多くのTVドラマに出演。2012年にはエランドール賞新人賞、橋田賞新人賞などを受賞する。映画では『セカンドバージン』(11/黒崎博監督)で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その他の主な出演作品に『映画 鈴木先生』(13/河合勇人監督)、『地獄でなぜ悪い』(13/園子温監督)、『舞妓はレディ』(14/周防正行監督)、『海月姫』(14/川村泰祐監督)、『ラブ&ピース』(15/園子温監督)、『進撃の巨人』前後篇(15/樋口真嗣監督)、『この国の空』(15/荒井晴彦監督)、『劇場版 MOZU』(15/羽住英一郎監督)、『セーラー服と機関銃-卒業-』(16/前田弘二監督)など。今後は主演作『シン・ゴジラ』(16/総監督:庵野秀明)の公開が控えている。

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菅田将暉(鈴木卓也)

1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年「仮面ライダーW」(EX)でデビューし、注目を集める。連続テレビ小説「ごちそうさん」(13/NHK)や「ちゃんぽん食べたか」(15/NHK)、「民王」(15/EX)などの人気テレビドラマに立て続けに出演、13年に主演映画『共喰い』(青山真治監督)がロカルノ国際映画祭コンペ部門に正式出品、同作で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。14年『そこのみにて光輝く』(呉美保監督)では高崎映画祭最優秀助演男優賞、日本映画批評家大賞助演男優賞など国内の映画賞を数々受賞。主な映画出演作に『王様とボク』(12/前田哲監督)、『男子高校生の日常』(13/松居大悟監督)、『陽だまりの彼女』(13/三木孝浩監督)、『闇金ウシジマくんPart2』(14/山口雅俊監督)、『海月姫』(14/川村泰祐監督)、『暗殺教室』(15/羽住英一郎監督)、『明烏 あけがらす』(15/福田雄一監督)、『ピース オブ ケイク』(15/田口トモロヲ監督)、『ピンクとグレー』(16/行定勲監督)、『星ガ丘ワンダーランド』(16/柳沢翔監督)、『暗殺教室‐卒業編‐』(16/羽住英一郎監督)など。待機作に『ディストラクション・ベイビーズ』(16/真利子哲也監督)、『セトウツミ』(16/大森立嗣監督)『何者』(16/三浦大輔監督)、『デスノート2016』(16/佐藤信介監督)、『溺れるナイフ』(16/山戸結希監督)などがある。

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リリー・フランキー(篠原 弘)

1963年11月4日生まれ、福岡県出身。イラストやデザインのほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。初の長編小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は2006年本屋大賞を受賞し220万部を超え、絵本「おでんくん」はアニメ化。音楽活動では、総合プロデュースした藤田恵美「花束と猫」(ポニーキャニオン)が第54回 輝く!日本レコード大賞において優秀アルバム賞を受賞。俳優としては、映画『ぐるりのこと。』(08/橋口亮輔監督)でブルーリボン賞新人賞を受賞。また『そして父になる』(13/是枝裕和監督)では、第37回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を、『凶悪』(13/白石和彌監督)では同優秀助演男優賞を受賞。そのほか、同年の多数の映画賞、第6回伊丹十三賞も受賞。16年は、主演映画『シェルコレクター』(坪田義史監督)が公開されたほか、公開待機作に『お父さんと伊藤さん』(タナダユキ監督)、『SCOOP!』(大根仁監督)などがあり、17年には主演映画『美しい星』(吉田大八監督)が控えている。

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自分が出演した初号を観て、客観的に面白いなと思えたのは『二重生活』が初めてでした。いつもは自分の粗探しをしてしまうのですが、台本も自分の想像も超えた作品になっていたので、とても新鮮な感覚で観られました。私が演じた主人公、珠は自分が傷つかないように受け身で生きていた人で、自分の感情に蓋をしてきた年月が長く、それが当たり前になって自分の感情をリアルに感じられなくなっている女の子です。でもこういう珠が感じているような孤独感や虚無感に共感出来る方は多いのではないかと思います。珠は、他人を観察して、他人の動く感情を見て、結果的には自分の感情を見つめることになり自分自身変化していった。尾行は彼女にとって、リハビリみたいなものだったのかもしれません。

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完成した本編を観て、いい映画だなと思いました。 つい見入ってしまったといいますか。余計なことを考えることもなく、一観客として映画の世界に浸ることができました。2時間があっという間で、岸監督ならではの作品になっていると思います。岸監督は作家としてとても懐の深い方です。ご自身が書かれた脚本に手を加えることを厭わず、役者の意見にもしっかり耳を傾けてくださいました。今回『二重生活』で新しい現場、新しいモノ作りの楽しみを味わわせていただきました。

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岸組の撮影には、新しい可能性がたくさんあると感じました。年齢や作品を重ねるとどうしても新鮮なことが減っていくと思うのですが、面白みのあるチャレンジができそうな予感がしたというか。いい意味でどういう映画になるか想像できない部分があったので、そこが楽しみでした。実際に完成した本編は、尾行のシーンには関わっていないこともあって、自分が出ていた作品なのに客観的に観ることができて、すごく面白かったです。

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みんなが二重生活をしていて、何かしらに尾行され、監視されている。そういうテーマが明快に描かれている作品だと思います。誰もがこういう風に暮らしているんだと、胸が苦しくなるような負の共鳴性を感じました。すべてに渡って密度が濃くて、岸監督の執念が全編に込められています。人間が本来持っているスケベ根性みたいなものがいやらしい形ではなく凝縮されていて、すごく引き込まれました。前半は自分が出歯亀になってサスペンスとして観ていましたが、後半は人間ドラマになっていく。『二重生活』はありそうでない日本映画。 恋愛の映画でもあり、サスペンスでもあり、人間ドラマでもあると思います。

スタッフ -STAFF-

監督・脚本: 岸 善幸

1986年、テレビマンユニオンに参加以降、数々のドキュメンタリー番組を手がける。演出の他プロデュースでも、多くの優れた映像作品を生み出す。綿密な取材に基づいた構成、演出には定評があり、各局から指名を受ける数少ないディレクターである。NHK「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日~8月6日」は放送後に多くの反響を呼び、サンダンス映画祭ではノミネートこそ逃すものの国内外の選考委員に高く評価された。2012年元旦から放送されたNHK大型ドキュメンタリードラマ「開拓者たち」(全4話)や東日本大震災被災地でロケを敢行した「ラジオ」など、ドキュメンタリーで培った独自の演出方法は、俳優陣からも絶大な信頼を得ている。

【主な受賞作】
■「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日〜8月6日」 脚本・演出
  (2009年 NHK-BSハイビジョン特集)
● 第27回ATP賞テレビグランプリ2010 総務大臣賞、ドラマ部門優秀賞

■「開拓者たち」 全4回 (主演 : 満島ひかり) 脚本・演出
  (2012年 NHK-BSプレミアム 大型ドキュメンタリードラマ)
● 第49回ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞
● 第29回ATP賞テレビグランプリ2012 総務大臣賞

■「ラジオ」 (脚本 : 一色伸幸) 演出
  (2013年 NHK総合 特集ドラマ)
● 第68回文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門大賞
● 第50回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞
● ドイツ・ワールドメディアフェスティバル エンターテインメント ドラマ部門金賞
● シカゴ国際映画祭テレビ賞(アメリカ)長編テレビ映画部門 金賞
● 国際エミー賞テレビ映画部門ノミネート 他多数受賞

原作: 小池真理子

1952年、東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で第42回日本推理作家協会賞、96年「恋」で第114回直木賞、98年「欲望」で第5回島清恋愛文学賞、2006年「虹の彼方」で第19回柴田錬三郎賞、12年「無花果の森」で第62回芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)、13年「沈黙のひと」で第47回吉川英治文学賞を受賞。「無伴奏」「千日のマリア」「モンローが死んだ日」など著書多数。

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撮影: 夏海光造

映画『華麗なる一族』(74/山本薩夫監督)に撮影助手として参加以来、映画・CM・ドキュメンタリー映画などの撮影に従事。その後、フリーランスカメラマンとして活動。ドキュメンタリーを中心に映画、テレビ番組の撮影を多数手がける。2009年、岸善幸監督と組んだ「少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日〜8月6日」(NHK BS-hi)がATP総務大臣賞を受賞。2012年大型ドキュメンタリードラマ「開拓者たち」(全4話)(NHK BSプレミアム)でも数々の賞を受賞。2013年ドラマ「ラジオ」(NHK)は文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門大賞ほか、シカゴ国際映画祭長編テレビ映画部門金賞に輝くなど海外でも大きな反響を呼んだ。

音楽: 岩代太郎

1965年東京都出身。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修了。サウンドトラックを中心とした幅広いジャンルで活躍。映画『血と骨』(04)、『春の雪』『蝉しぐれ』(05)『利休にたずねよ』(13)で日本アカデミー賞優秀音楽賞、『闇の子供たち』(08)で毎日映画コンクール音楽賞、『レッドクリフPartⅠ』(08)で香港金像奨最優秀音楽賞を受賞。13年には、「東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト 魂の歌」を発起人として立ち上げ活動の場を広げている。他に映画『殺人の追憶』(03)、『舞妓Haaaan!!!』(07)、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11)、『許されざる者』『武士の献立』(13)、TVではNHK大河ドラマ「葵 徳川三代」(00)「義経」(05)等の代表作がある。

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カメラは感情をまじえずに、主人公を追っていく。 私たちがよく知る都会の風景、ありふれた日常生活、雑踏のざわめきがそこに重なり合う。 ドキュメンタリーのような撮り方だ。秀逸なカメラワーク! ふだん人に知られずにいる不安、かなしみ、猜疑心、企みの数々までもが透けて見えてくる。若いヒロインをはじめとした人々の「日常」と「行動」、そして「想い」は決して特殊なものではない。現代を生きるすべての人の中にあるものだ。作者が小説のテーマに据えたものを、この映画がそれこそ「まるでドキュメンタリー」のように、静かにそっと、再現してくれた。ぜひ、ご覧いただきたい。

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